咳止め薬は使った方が良い?
喉の病気|2024.11.19なぜ咳が出るの?
咳はよくある症状の1つですが、なぜ咳が出るのでしょうか?
皆さんも、風邪をひいた時や空気が乾燥している時、刺激の強い食べ物を食べた時、排気ガスや土埃を吸い込んでしまった時など、咳込んだ経験があるのではないでしょうか?
簡単にいうと、咳は、病気のサインであると同時に我々の体を守るための防御反応です。呼吸の通り道である気道に、異物や刺激が入ると反射的に体の外に出そうとする現象です。咳の原因になるものは、ホコリ・刺激物・温度差・ウイルスや細菌など様々ですが、痰が溜まったり、後鼻漏という鼻水がのどに流れ落ちてくる現象によっても、咳は誘発されます。
咳は止めた方がよい?
「咳止めを使って咳は止めた方がよいですか?」と質問をいただくこともよくありますが、基本的には咳は無理に止めない方がよいでしょう。先ほどもお伝えした通り、咳はホコリ・ウイルス・細菌などの異物や気道に溜まった痰を体の外に排出しようとする体の防御反応のため、咳を止めることでのどの奥や気管支などの気道に原因物がとどまり、炎症を悪化させたり、気道を刺激することで咳をさらに強くしたり、風邪症状が長引く要因になることもあります。
ただし、咳がひどくて眠れない場合や咳が長引く場合などには、咳止め薬を使うことも効果的です。なぜなら、睡眠不足になると十分な休息が取れなくなるので、免疫が低下して咳が長引いたり悪化する原因になることと、咳が続くと体力も消耗してしまうので、病気が治りづらくなってしまうためです。したがって、これらの場合には咳に対する治療が必要となります。
また「どの程度の症状や期間がある場合に咳止めを使えばよいですか?」と相談いただくこともありますが、喉の状態や原因によって判断が難しいことがあるため、迷われる場合には、お近くの耳鼻咽喉科や内科を受診することをおすすめします。
咳止め薬の種類にはどんなものがあるの?
咳止め薬と一口に言っても薬の種類によって作用は多種多様です。例えば、
・痰が絡みにくくなる効果のある薬
・気管支の腫れやけいれんを抑えて気道を広げる薬
・中枢神経に作用して咳が出る反応を抑える薬
・気道の過敏性を低下させて咳を抑える薬
などがあります。ドラッグストアなどで市販されている薬でも、上記の作用を持つお薬はたくさんあります。ただし、咳を含む風邪症状に作用する総合感冒薬や中枢神経に作用する薬では、医療用麻薬に指定されているコデイン(ジヒドロコデインリン酸塩)という成分を含んだものもあるため、安全に使用するためには薬剤師や医師に相談して、用法容量を守るようにしましょう。
また咳の原因によっては、薬を飲んでも思うような効果が得られない可能性もあります。例えば、痰の少ない乾いた咳の場合に、痰が絡みにくくなる効果のある薬を使っても咳はあまりよくなりません。また後鼻漏が原因の場合には、鼻水にも作用するお薬でなければ咳が止まらないこともあるため、原因を調べて原因に合わせたお薬を選ぶことが大切です。
使い方に注意!咳止めの副作用とは?
咳止め薬の種類によっては、中枢神経や内臓などの働きに影響を及ぼす薬もあるため、眠気やめまいなどの中枢神経系の症状、かゆみや発疹の皮膚症状、悪心・嘔吐や便秘などの消化器症状などの副作用が出ることがあります。薬を服用して眠気が出る場合、車の運転や高所での作業の際には、そのような咳止め薬は避けた方がよいでしょう。また、ある種の咳止め薬の成分によっては、呼吸が浅くなる、息切れするといった症状が出る場合もありますので、そのような症状が出る場合には早急に医療機関を受診することをおすすめします。
また、咳止め薬は適切に使えば重大な副作用が出ることはほとんどありませんが、他の薬との飲み合わせやアルコールと一緒に服用することで、薬の成分が過剰に働いて副作用が強く出てしまうこともあるため注意しましょう。
耳鼻咽喉科で咳止め薬は出してもらえる?
耳鼻咽喉科でも咳はよく診る症状の一つで、咳がつらい場合には咳止め薬を処方することがあります。ただし、咳止め薬に頼りすぎてしまうと、最初にお伝えした通り、逆に風邪症状や咳が長引いてしまうことがあります。治療の基本は咳の原因の元をしっかり治すことです。例えば痰が原因であれば、痰を出しやすくする痰切りのお薬を処方します。また、アレルギー性鼻炎が原因ならアレルギー反応を抑える薬、細菌感染が原因なら細菌に効く抗生物質のように、原因に効く薬を処方したり、処置をするなどの治療を行います。
咳止め薬がない!そんなときはハチミツも効果的です!
海外では咳止め薬がなく、咳がつらいときは、ハチミツを使うことがあります。ハチミツは咳や痰、のどの痛みなどの症状を緩和する効果があり、市販の咳止め薬との比較対象試験で同じくらいの咳に対する効果があることが報告されています。ただし、一歳未満の乳児はボツリヌス中毒のリスクがあるため、ハチミツは与えないようにしてください。ハチミツの使い方や咳止め薬が無い時の対策について詳しくは下記をご覧ください。