睡眠時無呼吸症候群
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睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠中に何回も呼吸が止まり、ぐっすり眠ることができない病気です。潜在的な患者数は人口の2~3%といわれ、決してまれな病気ではありません。睡眠中に体が酸素不足に陥ることによって、高血圧や心筋梗塞などの循環器疾患・脳卒中などを合併しやすいことが明らかとなってきております。また、日中の眠気のために、仕事に支障をきたしたり、居眠りによる事故の発生率を高めたりするなど、社会生活に重大な悪影響を引き起こします。
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原因
無呼吸の多くは空気の通り道である上気道のスペースがなくなることで発症します。
原因で1番多いのが肥満症で、体に脂肪がつくのと同じように、舌根(舌の付け根)やのどの組織内にも脂肪が増えて上気道が狭くなり、無呼吸を誘発します。
しかしながら、肥満症以外にも、鼻の病気による鼻づまり、過度のアルコール摂取、加齢、舌や扁桃腺の肥大、のどの粘膜の下垂、顎が小さいことなど多くの原因があり、またこれらが複合して関係するので、特別に肥満のない方でも発症することがある病気です。 -
症状
●睡眠時
- 大きないびきをかく
- 息が止まる
- 呼吸が乱れたり、息苦しさを感じる
- 夜中何度も目が覚めトイレに行く
●日中
- 寝た気がしない、熟睡感がない
- 起きてもスッキリしない
- 強い眠気があり、居眠りをする
- 倦怠感、疲労感がある
- 起床時の頭痛
- 起床時に口の渇きがある
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検査と治療
当院では、ご自宅で簡易検査(PG)と精密検査(PSG)を受けていただける体制を整えております。睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合、まずは簡易検査(PG)を受けていただきます。簡易検査の結果、1時間当たりの無呼吸と低呼吸を合わせた回数(AHI)が5以上で睡眠時無呼吸症候群の症状がみられる場合には精密検査(PSG)が必要となります。
なお、AHIが40以上で重症の場合には精密検査(PSG)をおこなわず、すぐにCPAP療法(鼻から空気を送り込む機器を装着して寝ることで気道を広げて、無呼吸を改善する治療法)開始となります。
*1AHI:睡眠1時間あたりの無呼吸・低呼吸*2の合計回数
*2低呼吸:動脈血酸素飽和度が約3%以上低下または覚醒を伴う状態簡易検査(PG)をおこなう場合、当院にて検査機器の貸し出しをおこないます。検査が必要と診断された場合に原則当日検査機器をお渡しします。台数に限りがありますので、数日お待ちいただくことがあります。ご了承ください。
精密検査(PSG)をおこなう場合、診察を受けていただいた後、数日以内に検査会社から電話で連絡が入ります。検査方法についての詳しい説明、検査機器の貸し出しについて連絡がありますので、内容をご確認の上、配達先、配達日時などを検査会社とご相談ください。
検査機器が届いたら、同梱のガイドを読んでできるだけ早く無呼吸の検査を行ってください。検査終了後、検査機器を返却してください。検査結果は直接当院に届きますので、受け取り次第ご連絡させていただきます。(下記の精密検査(PSG)の流れを参照してください。)精密検査(PSG)の結果、AHIが20以上の場合には、CPAP療法の適応となります。CPAP療法でも同様に、専用の機械を貸し出しいたしますので、ご自宅で自分で治療をおこなっていくことができます。
大きないびきをかく、日中とても眠い、起床時に頭痛やだるさがあるなどの症状がある方は、お気軽にご相談ください。なお、子供さんの場合は、多くは、扁桃腺やアデノイドの肥大が原因であり、これらを手術にて切除すれば改善します。その場合、提携病院での手術を紹介させていただきます。 -
いびきは睡眠時無呼吸症候群のサイン?
いびきをかくすべての人が睡眠時無呼吸症候群というわけではありませんが、毎日いびきが続いているなど慢性的にいびきをかいている場合には、注意が必要です。 睡眠時無呼吸症候群のサインになるいびきには以下のような特徴があります。
- 慢性的ないびきがある
- 寝てから朝までいびきが続いている
- 横向きになるといびきが小さくなる
- いびきの音が変わったり、呼吸が止まることがある
また、大きないびきをかいていたが突然止まったり、しばらく経ってから「グググ」「ガァー」といった大きないびきや「ヒュー」と音が鳴ることもあります。
こうした繰り返すいびきのリズムや音も睡眠時無呼吸症候群に見られるいびきの特徴です。ご本人は、いびきをかいていることに気づかずに、周りの方から指摘されて初めて気づくケースも多いです。指摘されると恥ずかしいかなとためらう気持ちも分かりますが、いびきをかいている場合には、健康を守るためにもご本人に伝えてあげてください。