子どもによくある発熱
こどもの症状|2022.12.15子どもがよく熱を出すのはなぜ?
子どもは大人に比べて熱を出すことがよくあります。大人の場合は、免疫機能が成熟しており、ウイルスや細菌などに感染しても熱が出ることは比較的少ないです。この免疫機能は様々なウイルスや細菌に感染しながら、少しずつ抗体を作って成長していきますが、子どもは免疫機能が未成熟のため、ウイルスや細菌に対する抵抗力が弱く、熱が出やすいという特徴があります。
子どもの熱の原因は?
子どもの熱の原因の多くはウイルスや細菌などの病原体に感染することです。ウイルスや細菌に感染すると、それらが体内で増えていきますが、ウイルスや細菌の活動を抑えようとする身体の防御反応として体温が上がり、熱症状として現れます。ウイルスや細菌は非常に多くの種類があり、子どもの熱の原因となる病原体としては、一般的な風邪のウイルスが最も多いですが、RSウイルス、アデノウイルス、インフルエンザウイルス、溶連菌などの感染症もあります。これら以外にも日常生活の中に潜むウイルスや細菌はたくさんあるので、日頃から手洗いうがいなどの感染対策が大切です。
大人にもうつることはあるの?
子どもに熱が出ている場合、体内でウイルスや細菌が増え、唾液・くしゃみ・鼻水・咳などによって体外に排出されます。従って、当然ながら大人でもうつることはあり、特にお子さんの世話をする保護者の方は要注意です。感染の経路としては、ウイルスや細菌が付着した手で口や目などを触ることによる接触感染やくしゃみ・咳などで飛び出した飛沫による飛沫感染があり、病原体の種類によっては、より強力に感染を起こす空気感染もあります。
ウイルスや細菌の感染対策はどんなことをすればいい?
ウイルスや細菌の感染対策で大切なことは、『ウイルスや細菌に触れないようにすること』『吸い込まないようにすること』『こまめに消毒をする』ことです。そのために、
・食器の共有を避ける
・タオルは共用せず、定期的に交換する
・くしゃみや咳で飛沫が飛ばないようにマスクをする
・手洗いをしっかりする
などの注意をしましょう。
また、お子さんは家の中でもいろんなところ触っていることが多く、どこにウイルスや細菌が潜んでいるかわかりません。水拭きだけでなくアルコール消毒をおこなったり、机やドアノブ、リモコン、スマートフォンなどよく触るところはこまめに消毒をしましょう。
子どもが熱を出した時に注意するポイントは?
子どもに熱が出た場合には、熱が何度あるか、咳やのどの痛み、鼻水などの症状も診断するうえで大切ですが、特に注意いただきたいことはお子さんの様子です。ぐったりしていないか、視線が合うか、呼びかけたときにしっかり反応が返ってくるかなどお子さんの意識や反応を観察するようにしてください。これらの異変を感じたら、早めに医療機関を受診することが大切です。
熱だけでなく嘔吐や下痢をしていますが大丈夫ですか?
ウイルスや細菌の種類によっては、発熱に加えて吐き気や嘔吐、腹痛や下痢の症状がみられることがあります。子どもによくみられるウイルス感染症で、ノロウイルスやロタウイルスなどは発熱に加えて嘔吐や下痢などの消化器症状が特徴的です。これらの症状がみられる場合には、耳鼻咽喉科では診察が難しいこともあるため、小児科や内科を受診いただくことをおすすめします。
熱があったら解熱剤は使ってもいいですか?
熱が出るのは、ウイルスや細菌の活動を抑える体の防御反応でもあるため、解熱剤を多用することはできるだけ控えてください。お子さんがぐったりしていたり、熱が高くて元気がない、水分も取れないなどの様子が見られた場合には解熱剤を使用しなければなりませんが、そうではなくて、熱があっても元気な場合には無理に解熱剤を使用する必要はありません。また、熱の上り始めにぶるぶる震えて寒い時は、厚着や毛布などで体を温めるようにして、逆に熱が上がってしまって暑がる時には、薄着にして氷のうや保冷剤で首やわきの下を冷やして、快適になるように調節しましょう。
耳鼻咽喉科でも子どもの発熱を診てもらえるの?
熱があれば小児科の受診を考える方もおられますが、発熱は鼻風邪やのど風邪でもよく起こる症状であり、耳鼻咽喉科を受診される方も多いです。ひどくぐったりして、呼びかけても反応が悪い場合や水分も全然取れないような場合は小児科をおすすめしますが、比較的元気で鼻や咳の症状が主な場合は耳鼻咽喉科をおすすめします。
特に鼻水が多くて鼻の中にたまった状態が続くと、風邪がこじれて中耳炎や副鼻腔炎を合併するリスクも高くなりますし、鼻水がのどに落ちて(後鼻漏)、痰がからんで咳もひどくなりますので、耳鼻咽喉科で鼻水の吸引治療をしっかりしてあげることも大切と考えます。