花粉症
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花粉症とは
スギ・ヒノキなどの花粉が原因となって、花粉が飛んでくる季節にだけ症状がおこる季節性アレルギー性鼻炎を花粉症と呼びます。花粉に対するアレルギーのある方が、鼻の中に花粉を吸い込むことで、くしゃみ・鼻水・鼻づまりなどの鼻症状を起こし、目の中に花粉が入ると目のかゆみなどの眼症状も起こします。
また、のどや気管支に花粉を吸い込むと、のどのかゆみや咳の原因にもなります。 -
年々増えている花粉症
花粉症の患者数は年々増えており、春のスギ・ヒノキ、春の終わりから夏のイネ科の雑草、秋のキク科の雑草など、花粉の種類は様々ですが、特にスギによる花粉症が最も多いです。花粉症は、今や日本人の約40%以上の方で発症しているといわれています。
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低年齢化している花粉症
最近の調査にて、小児の花粉症の増加が明らかになっています。2019年の最新の疫学調査で、スギ花粉症の有病率は5~9歳では30.1%、10~19歳では49.5%と大きく増えており、過去と比べて花粉症の低年齢化が進んでいます。
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原因
花粉症は季節性アレルギー性鼻炎と呼ばれ、原因となる花粉が飛散している時期にだけ症状が引き起こされます。花粉症の主なアレルゲンはスギ、ヒノキ、カモガヤ、オオアワガエリ、ブタクサなどがあり、日本では約60種類の花粉がアレルゲンとして報告されています。
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治療法について
●薬による治療
一般的に治療の中心になるのは、薬による治療で、内服薬、鼻にスプレーする点鼻薬などを症状に合わせて用います。
薬による治療は進歩しており、「初期療法」(花粉が飛び始めるタイミング(症状が出る前)で、薬の服用を始める治療法)をおこなうことで、飛散シーズン中の症状を抑えることが可能になってきています。
ひと昔前は、薬によって眠気やのどの乾燥などを生じることもありましたが、現在は、これらの副作用もほとんど起こらない薬が開発されています。
また、一部の薬を除いて、長期に服用しても体への影響もほとんどありませんので、安心して服用していただけます。●手術による治療
薬による治療で効果が少ない場合や薬の服用を出来るだけ減らしたい場合には、手術による治療もおこないます。
一般的におこなわれている手術は、レーザーなどで鼻の中の下甲介という場所の粘膜を焼く手術(下甲介粘膜焼灼術と呼びます)です。この手術は、日帰りで安全にできる治療法で、約20分程度で終わります。
ご希望の方には、予約制でおこなっております。治療をおこなう時期としては、花粉が飛び始める前(スギ花粉症であれば9月~1月末まで)におこなうのが望ましいと考えられています。●舌下免疫療法
舌下免疫療法とはスギ花粉症の新しい治療方法です。スギ花粉のエキスを舌下より体内に少しずつ取り入れ、体をスギ花粉に慣れさせる治療方法です。従来からの注射による免疫療法と比較して、安全性が高く、痛みもなく、頻回の通院も不要です。
舌下免疫療法について -
注意していただきたいこと
医療機関で処方される点鼻薬と違い、ドラッグストアなどで市販されている点鼻薬は「血管収縮剤」が含まれている場合が多く、使用した直後は良く効くのですが、繰り返し使用を続けると次第に鼻の粘膜が固く腫れてきて、血管収縮剤入りの点鼻薬を使っても効果がなくなってしまう薬剤性鼻炎を起こす恐れがあります。したがって、市販の血管収縮剤の含まれた点鼻薬を10日以上連用することは極力控えるようにしてください。
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よくある質問
- 花粉症と風邪の違いは何ですか?
- 花粉症と風邪の初期症状は、鼻水が出る・くしゃみが出るなど似ている点がいくつかあります。しかし、花粉症の場合にはさらっとした透明な鼻水が続く、くしゃみは連続して出る、目のかゆみや充血がある、熱が出ることは少なくあっても微熱、など、風邪と異なる特徴があります。
最初は風邪と思っていても、長引くから受診してみると実は花粉症だった。また、いつもの花粉症だと思っていたら、後から熱もでてきて風邪だったなど、ご自身で判別が難しいこともよくありますので、気になる症状が出始めたら、お近くの耳鼻咽喉科に相談することがおすすめです。 - スギやヒノキ以外に花粉症になることがありますか?
- 花粉症はスギやヒノキが有名ですが、スギやヒノキ以外にも花粉症を引き起こす植物の花粉は60種類以上あります。例えば、春の終わりから夏にかけてはイネ科のカモガヤやオオアワガエリ、秋にはキク科のブタクサやヨモギなどがあります。河川敷や公園、空き地などに生育していることが多いため、そうした場所は避けるようにすることも大切です。
- 花粉症のピークの時期はいつですか?
- 花粉症のピーク時期は原因となっている植物の種類によって異なります。例えば、スギは毎年2~3月ごろに花粉の飛散量が最も多いピークを迎えますが、ヒノキは3~4月ごろに飛散量のピークを迎えます。花粉の飛散量に応じて、花粉症の症状がひどくなる傾向があるため、ご自分が何の植物の花粉にアレルギーがあるのかを事前に調べて、その花粉が飛散する時期にはしっかり対策を行うことが大切です。
- 自宅でできる花粉症対策はありますか?
- 自宅でできる花粉症対策の基本は花粉を室内に持ち込まないことです。花粉は外出時に衣服や体に付着するので、帰宅時は室内に入る前に、衣服や帽子・髪の毛をよく払って花粉を落としてから入室して、すぐに洗顔やうがいをしましょう。また、お部屋の換気をする時は、窓は小さく開けて短時間で済ませることや、花粉の飛散が多い日は、洗濯物や布団を外に干さないことも大切です。
そのほかの対策については下記のコラムにも掲載しておりますので、どうぞご覧ください。
花粉症の対策について - 一度花粉症になると治らないと聞いたことがありますが本当ですか?
- 花粉症やアレルギー性鼻炎は本人の体質が原因で起きているため、短期間での完治は難しいと言われています。ただし、体質を改善することで、アレルギー症状が起こりにくくすることもできます。例えば、アレルゲンの成分を少しずつ体に取り込んで、スギやダニに対する過剰な反応を起こりにくくする「舌下免疫療法」という治療法があります。治療を開始してから3~5年程度はお薬の服用を続ける必要があり根気のいる治療ですが、アレルギーの根治が期待できるため、スギ花粉症にお悩みの場合はお気軽にご相談ください。
舌下免疫療法について詳しくは下記をご覧ください。
舌下免疫療法について
こちらの記事の監修医師 :
医療法人一心会 京本耳鼻咽喉科
院長 京本良一
- 平成5年3月関西医科大学卒業、医学博士号取得。
- 平成5年から平成17年まで大学病院や基幹病院にて勤務。
- 平成17年8月京本耳鼻咽喉科開院を経て現職に至る。
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定専門医
- 補聴器相談医
耳鼻咽喉科専門医として、丁寧で優しい説明・診療を心がけ、小さなお子様からご高齢の患者様まで、「来てよかった!」と安心いただける医療を提供してまいります。