扁桃炎
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扁桃炎とは
呼吸に伴って、鼻や口から侵入する細菌やウイルスなどに対して防御の働きをする、のどのリンパ組織を扁桃と言います。
口の奥に左右に見える口蓋扁桃を一般的に扁桃ということが多いですが、その他に鼻の一番奥にある咽頭扁桃(アデノイド)、鼻と中耳をつなぐ管(耳管)の開口部付近にある耳管扁桃、舌の後方にある舌扁桃などがあります。
これらがのどの入り口を取り囲むように輪状に配列しています。
扁桃炎とは、扁桃の代表である口蓋扁桃が細菌やウイルスによって炎症を起こしている病気です。 -
扁桃炎の症状
主な症状は、のどの痛み・発熱・嚥下痛(ものを飲み込むときの痛み)です。全身のだるさや関節痛などを認めることもあります。
扁桃が炎症により赤く腫れますが、白い膿が付着することもあります。
重症化すると、扁桃の周囲にまで炎症が広がり、扁桃周囲膿瘍(扁桃の周囲に膿が溜まった状態)などの合併症を起こすことがあります。開口ができなくなり、水分も飲み込めなくなる状態になり、その場合は緊急入院が必要になります。 -
扁桃炎の原因
様々なウイルスや細菌の感染が原因となります。感染経路としては、咳やくしゃみに含まれたウイルスや細菌を鼻やのどから吸い込むことによる飛沫感染と、ウイルスや細菌に触れた手などを介する接触感染があります。
細菌感染で特に重要なものは溶連菌という細菌で、のどの症状や発熱以外に、舌の赤いツブツブ(イチゴ舌)や体に発疹が出ることがあります。きっちり治療しないと腎炎やリウマチ熱などの合併症を起こす場合があります。溶連菌の感染は、扁桃を綿棒でぬぐう迅速検査にて調べることができます。 -
扁桃炎の治療
●局所治療
扁桃に直接薬剤の噴霧や塗布を行なう局所治療にて症状を緩和します。
●薬による治療
薬としては、扁桃の炎症を抑える薬・鎮痛剤・解熱剤などを処方します。細菌感染を疑う場合は抗菌薬も処方します。特に溶連菌の感染では、抗菌薬を5~10日間程度、きっちり服用することが重要となります。
●手術治療
また1年に何回も扁桃炎を繰り返し、(1年間の扁桃炎の回数)×(扁桃炎を起こしている年数)が8以上の場合には、扁桃を摘出する手術(扁桃摘出術)が必要となります。
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扁桃炎にならないためには
細菌やウイルスが扁桃に感染するのを予防するために、うがいや手洗いをこまめに行なうことが大切です。体の免疫力を保つために、過労・睡眠不足・ストレスを避けて、規則正しい生活を心がけることも大事です。
こちらの記事の監修医師 :
医療法人一心会 京本耳鼻咽喉科
院長 京本良一
- 平成5年3月関西医科大学卒業、医学博士号取得。
- 平成5年から平成17年まで大学病院や基幹病院にて勤務。
- 平成17年8月京本耳鼻咽喉科開院を経て現職に至る。
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定専門医
- 補聴器相談医
耳鼻咽喉科専門医として、丁寧で優しい説明・診療を心がけ、小さなお子様からご高齢の患者様まで、「来てよかった!」と安心いただける医療を提供してまいります。
