溶連菌感染症
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溶連菌感染症とは?
溶連菌(ようれんきん)感染症は、「A群β溶血性レンサ球菌」という細菌が原因で起こる病気です。この細菌はのど(咽頭、扁桃腺)に感染することが最も多く、のどの痛みや発熱を伴う咽頭炎を引き起こします。それ以外に、皮膚の感染症(とびひなど)、しょう紅熱などの様々な感染症の原因にもなります。
冬と、春から初夏の2つの流行のピークがあり、小学生くらいのお子さんによくみられる病気ですが、大人でも感染することがあります。特に小さなお子さんが発症した場合は、家庭内で集団感染を起こすこともあります。
通常は、適切な抗菌薬(抗生物質)をきっちり服用すれば軽快しますが、治療せずに放置したり、中途半端に薬をやめたりすると、稀ではありますが、糸球体腎炎やリウマチ熱(心臓や関節の炎症疾患)といった合併症を起こすことがあるので注意が必要です。
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溶連菌感染症の感染経路
溶連菌が以下のような経路で感染し、体内で増殖することで発症します。
飛沫感染
感染した人のくしゃみや咳に含まれる細かい水滴(飛沫)に菌が潜んでおり、それを吸い込むことで感染します。くしゃみ以外にも会話中にも唾の飛沫と一緒に菌が飛ぶことがあります。特に、換気の悪い場所や人が密集している場所では感染しやすくなるため、注意が必要です。
接触感染
感染している人から出た唾液や飛沫に潜む溶連菌がついた手や物(ドアノブ・タオル・おもちゃなど)を介して、溶連菌が自分の口や鼻に入ることで感染します。
経口感染
溶連菌がついた食べ物や食器から感染することもあります。家庭内に感染者がいる場合、料理を取り分ける際に取り箸を使わずに分けていると、感染しやすくなるため注意しましょう。また、子どもが溶連菌に罹っている場合に、子どもの食べ残しを保護者の方が食べることで感染することがあるため控えることも大切です。
溶連菌は比較的感染力が強く、保育園・学校や家庭などで広がりやすい病気ですので、注意しましょう。
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溶連菌感染症の診断方法
溶連菌感染症の診断のための検査法としては、「迅速抗原検査キット」と「培養検査」があります。一般的に行われるのは「迅速抗原検査キット」で、のどを綿棒でぬぐって検体を取ることで、10分程度ですぐに結果が出ます。必要に応じて精密検査として「培養検査」を行うこともあります。
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溶連菌感染症の症状
溶連菌に感染症すると、2~5日間の潜伏期間の後に、次のような症状が起こります。
- 発熱(38℃以上が多い)
- のどの強い痛み
- のどが赤く腫れて、扁桃腺に白い膿(うみ)ができる
- 首のリンパ節の腫れ
- 小児では吐き気や腹痛を生じることもある
さらに、以下のような特徴的な症状が見られることもあります。
- イチゴ舌: 舌が赤くなり、ブツブツした状態になる
- 発疹: 赤い発疹が全身に出る(しょう紅熱)
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溶連菌感染症の治療
溶連菌感染症の治療には、主に抗菌薬(抗生物質)が使われます。多くの場合、ペニシリン系の抗菌薬が処方されます。ペニシリンに対するアレルギーがある場合などでは、別の抗菌薬を使用することもあります。
ペニシリン系の抗菌薬は、通常10日間服用を継続し、処方された薬を最後まできちんと飲み切ることが大切です。症状が良くなったからといって途中でやめてしまうと、溶連菌が残ってしまい、再発したり、合併症を発症することもあります。
また、抗菌薬には様々な種類があり、溶連菌に効く薬と異なる種類を飲んでも効果はありません。以前処方された抗菌薬が残っているからといって、自己判断で服用しないようにしましょう。
さらに、のどが痛くて食事が摂れない、水を飲むことすらつらい場合もありますが、脱水を防ぐためにこまめに水分を摂ることが大切です。必要に応じてスポーツドリンクや経口補水液なども利用して、水分、塩分などのミネラルを補給するようにしましょう。
早期に適切な治療を受けると、2〜3日で症状が良くなり始めますが、完全に治るまでには約1週間かかることもあります。抗菌薬を飲み始めて24時間後には感染力が下がるとされており、抗菌薬の服用開始後、24時間経過して、熱も下がって全身状態が良ければ登園・登校が可能となりますので、目安として覚えておきましょう。
耳鼻咽喉科での治療
溶連菌の場合は、耳鼻咽喉科?小児科?内科?と迷われるかもしれませんが、のどに特徴的な症状が出やすいため、耳鼻咽喉科の受診がおすすめです。必要に応じて、のどの状態を正確に診断し、重症度に応じた適切な治療を行うことができます。お気軽にご相談ください。
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溶連菌にかからないために
手洗いをしっかりと
外出から帰ったときや食事の前は、必ずハンドソープや石けんで30秒以上かけて手を洗いましょう。指の間や爪の間もしっかり洗うことが大切です。ハンドソープがない場合は、アルコール消毒液も効果的です
マスクの正しい着用
感染症が流行している場合には、感染者はもちろん、予防のためにも人混みではマスクを着用することが大切です。マスクは鼻から顎までしっかり覆い、隙間がないように着けましょう。使い捨てマスクは使いまわさず、汚れたら交換しましょう
体の免疫力を保つ
十分な睡眠と栄養を取りストレスを避けて、免疫力を保って、病気にかかりにくい体を心がけましょう。
家族に感染者がいる場合には...
以下のことに注意してください。
- こまめに手洗いをする(家族全員)
- タオル・食器などは個人専用にする
- ドアノブやスイッチなどのよく触れる場所はアルコールで消毒する
- マスクを着用する
溶連菌感染症は適切な治療を受ければ通常はすぐに回復することが多いですが、症状がある場合は自己判断せず、早めに医療機関(特に耳鼻咽喉科)を受診することをお勧めします。繰り返し感染する場合や、家族内で次々と感染する場合は、感染のサイクルを止めることが大切ですので、早めにご相談ください。
こちらの記事の監修医師 :
医療法人一心会 京本耳鼻咽喉科
院長 京本良一
- 平成5年3月関西医科大学卒業、医学博士号取得。
- 平成5年から平成17年まで大学病院や基幹病院にて勤務。
- 平成17年8月京本耳鼻咽喉科開院を経て現職に至る。
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定専門医
- 補聴器相談医
耳鼻咽喉科専門医として、丁寧で優しい説明・診療を心がけ、小さなお子様からご高齢の患者様まで、「来てよかった!」と安心いただける医療を提供してまいります。







