鼻出血
-
鼻出血とは
鼻出血とは、一般的に「鼻血」と呼ばれる症状のことを言います。
鼻の粘膜の血管が何らかの原因によって傷ついて、出血することは誰にでも起こりうる症状です。耳鼻咽喉科で相談の多いよくある症状の一つですが、正しく対処すればほとんどの場合、短時間で治まります。なかなか出血が止まらなかったり、繰り返しおこる場合は、何らかの病気が原因になっていることもあるので、詳しい検査が必要になることもあります。 -
鼻出血の症状
鼻出血そのものが症状の一つですが、鼻の中に血が溜まったり、のどに血が流れることで呼吸が苦しくなったり、のどに流れた血を飲み込んでしまうことで吐気を感じたりや嘔吐したりといった症状を起こすことがあります。
-
鼻のどこから出血が起こるの?
鼻出血の原因のおよそ8~9割は、鼻の中を左右に分けている壁の入り口付近にあるキーゼルバッハ部位という場所が傷ついたことによる出血です。この部位は血管がたくさん集まっていて、しかも血管の壁が非常に弱いため、ちょっとした刺激で簡単に出血が起こります。
稀ではありますが、キーゼルバッハ部位ではなく、もっと奥の部位から出血が起こることもあります。その場合は、より出血が止まりにくく注意が必要となります。 -
鼻出血の原因
局所的な原因と全身的な原因があります。
●局所的な原因
「鼻をかむ・いじる・こする、くしゃみをするなどの局所的な刺激」や「鼻かぜ、アレルギー性鼻炎、鼻の乾燥などによる炎症」、「鼻の打撲などの外傷」、「鼻や副鼻腔の腫瘍性の病気」などがあります。
●全身的な原因
高血圧、血液の病気、肝臓の病気などがあります。
-
鼻出血の治療法
鼻血が出るとびっくりしますが、興奮すると出血が多くなり止血しにくくなるので、まずは落ち着いて対処することが大切です。ほとんどの場合は適切に処置をすれば5~10分ほどで出血は止まります。
●圧迫による止血
椅子などに座り、小鼻の軟らかいところをしっかり指でつまみ、床や地面を見る体勢のまま5~10分ほど安静にします。小鼻よりも上の鼻骨(骨のある硬い部分)をつまむのは間違いです。また、鼻血を止める際に上を向くイメージをお持ちの方もいらっしゃいますが、上を向くと、のどの方に血が流れて止まりにくくなります。
その上、のどに流れた血液を飲み込むと気分が悪くなって嘔吐してしまいます。のどに流れてきた場合は、静かに口から吐き出しましょう。
もしも座った状態がつらい場合は、頭部をやや高くし、横向きの姿勢になりましょう。そして、のどに流れてきた血液は口から吐き出します。決して仰向けにならないことが大切です。●出血部位の焼灼による止血
出血が止まらない場合には、電気凝固装置などで出血部位を軽く焼いて止血します。出血が続いている状態では、適切な止血ができないため、院内で一時止血のためのガーゼなどを詰めて出血が一旦落ち着くまで様子をみてから、出血部位の焼灼を行います。
●止血剤やガーゼによる止血
焼灼による止血を行っても、なかなか出血が止まらない場合には、綿やスポンジ様の止血剤や特殊なガーゼを鼻の中の出血部位に挿入して止血を行います。
ご注意していただきたいこと
もともと鼻かぜやアレルギーなどによる鼻炎があると、出血しやすい状態になってしまいます。その場合は、原因となっている鼻炎の治療を日頃から行っておくことで、鼻出血の発生やの再発の予防になりますので、鼻炎を放置しないことが重要となります。
また、出血した時にティッシュや脱脂綿を鼻の穴に詰めることは、できるだけ控えるようにしてください。場合によっては、さらに鼻の中を傷つけて再出血しやすい状態になったり、鼻の奥まで入って取り出せなくなったりすることがあります。基本的には何も詰めず、圧迫による止血を行いながら、出てきた血をティッシュやタオルで拭き取るのがいいでしょう。
多くの場合は鼻の入口付近からの出血なので、まずは落ち着いて適切な圧迫による止血をしていれば、通常はだんだんと鼻血は止まります。ただし、出血が全然止まらない、出血量が多く30分以上止まらないような場合には、鼻の奥から出血している可能性があります。こうした場合には早めに医療機関を受診するようにしてください。