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補聴器を購入する前にVol.2|自分に合う補聴器の選び方

耳の病気|2026.05.13

補聴器の選び方

前回のコラムでは、補聴器を購入する前に「まずは耳鼻咽喉科で今の聞こえの状態を正しく知ること」の大切さをお伝えしました。
ご自身の聴こえの状態がわかったら、次はいよいよ「自分に合う補聴器を選ぶ」ステップです。最近の補聴器は、小さくて目立たないものや、便利な機能を備えたものなど、たくさんの種類があります。
「種類が多すぎて、どれを選べばいいのかわからない」
「自分に使いこなせるか心配」
そんな不安を解消できるように、今回は補聴器の形の種類や、選ぶときの大切なポイントについて、わかりやすくお話ししていきます。

【コラム】補聴器を購入する前にVol.1|聞こえの検査と相談医の役割

補聴器の主な種類と特長

補聴器には大きく分けて「耳あな型」「耳かけ型」「ポケット型」の3つの種類があります。それぞれの種類に応じて特徴がありますので、ご自身の耳の聞こえの状態や好みに合わせて選んでいきましょう。

1.耳あな型(耳の中にすっぽり入るタイプ)

耳の穴に収まるタイプで、使用するご本人の耳の穴の形を取って作る「オーダーメイド」が一般的です。

<メリット>

      • 耳の中にすっぽり収まるので、メガネやマスクの邪魔になりません。
      • 耳の本来の機能(耳で音を集める力)を活かせるため、自然な聞こえに近いと言われています。
      • 他の種類と比べて目立ちにくく、補聴器を使用していることが周囲の人に気づかれにくいです。

<注意点>

        • 耳の穴をふさぐため、自分の声がこもって聞こえる感じがすることがあります。
        • 構造上、ハウリング(ピーピー音が鳴る現象)が起こりやすいので、大きな音が出せない場合があります。
        • 本体が小さいため、電池交換などの細かい作業に慣れが必要です。また、価格が他の種類よりも高めです。

2.耳かけ型(耳の上にかけるタイプ)

耳の後ろに本体をかけ、細いチューブやコードでつながった耳栓を耳に入れて音を届けるタイプです。現在、最も普及している種類です。

<メリット>

        • 適応できる聞こえの幅が広く、軽い難聴から重い難聴まで対応可能です。
        • 聞こえを快適にするための様々な機能の付いた機種を選ぶことができます。
        • 本体のカラーバリエーションが豊富で、髪の色に合わせたり、おしゃれに楽しんだりできます。
        • 「RIC(外耳道内レシーバタイプ)」という、本体が非常に小さく、コードも細くて、付けていることがほとんどわからないモデルもあります。
        • 穴の開いた耳栓を使用することで、自分の声の響きや耳の閉塞感を軽減するオープンフィッテイングが可能です。

<注意点>

      • 耳の上に本体を乗せるため、マスクの紐やメガネのつると重なることがあります。つけ外しの際に落とさないよう注意が必要です。
      • 防水機能が付いていない機種では、汗などによって故障を起こしやすいです。

3.ポケット型(本体をポケットなどに入れるタイプ)

本体を胸のポケットに入れたり、首から下げたりして、本体から長いコードでつながったイヤホンを耳に入れて音を聞くタイプです。

<メリット>

        • 本体が大きいので、スイッチやボリュームの操作が簡単です。
        • 他の種類の補聴器と比べて、価格が安いです。
        • マイクとイヤホンが離れているのでハウリングを起こしにくく、大きな音が出せます。

<注意点>

          • 本体が大きいため、どうしても目立ってしまいます。
          • 本体とイヤホンが長いコードでつながれているため、コードが引っかかるなどのトラブルが多くなります。
          • マイクが胸元にあるため、衣類が擦れる「ガサガサ」という音を拾いやすい面があります。

自分の生活スタイルに合わせて選ぶ

補聴器選びで失敗しないためのコツは、「自分がどんな場面で困っているか」を具体的にイメージすることです。

補聴器には、音を大きくするだけでなく、周囲の雑音を抑えたり、特定の方向の声を強調したりする機能も搭載されています。この「中身の性能」は、補聴器を使う環境や元々の耳の聞こえの状態によって、どの機種を選ぶかのポイントが変わってきます。

 

・静かな場所での会話がメインの方

主に家の中で家族と話したり、静かな部屋でテレビを見たりすることが多い場合は、基本的な機能を備えたスタンダードな機種でも満足できることが多いです。

 

・外出や賑やかな場所に行くことが多い方

お買い物、サークル活動、レストランでの食事など、周囲がガヤガヤしている場所で会話を楽しみたい方は、雑音は十分にカットし、人の声は聞こえやすくする機能や、話し相手の声を自動で追いかける機能がついた機種がおすすめです。

 

・仕事や会議で使いたい方

大事な商談や会議などで聞き漏らしがあっては困る場面で使用する場合、音を細かく分割処理し、複数のマイクが搭載された高機能な機種を選ぶこともおすすめです。電話の使用が多い場合は、電話の音声を直接、補聴器にワイヤレスで飛ばす機能が付いている機種も便利です。

補聴器の「ランク」と価格について

補聴器の価格は、片耳で数万円のものから、数十万円するものまで幅広いです。この価格の差は、主に「補聴器の形」と「性能(ランク)」によって決まります。
高いものが必ずしも「あなたにとって一番いいもの」とは限りません。
「静かな場所でしか使わないのに、最高級の機能は必要ない」ということもあれば、「騒がしい場所に行くことが多いから、価格が高くても雑音抑制などの性能が良いものにしよう」という判断もあります。
ご自身の生活シーンと予算のバランスを考えて、補聴器相談医や補聴器専門店の認定補聴器技能者にじっくり相談しながら機種を決めるようにしましょう。

大切なのは「購入前の試聴」

カタログや説明を聞くだけでは、本当の聞こえ方はわかりません。補聴器を選ぶプロセスで最も欠かせないのが「試聴(実際に耳につけて聞いてみること)」です。
耳鼻咽喉科から紹介してもらう補聴器専門店の多くでは、購入前に数か月間の貸し出しを行っています。
実際に付けてみて、毎日の生活で使用を続けることで、

  •  ご自宅のテレビの音はどう聞こえるか。
  •  ご家族の声は聞き取りやすくなったか。
  •  外出した時の周囲の音の聞こえはどうか。
  •  耳につけていて痛くないか、自分でつけ外しができるか。

などを試しながら、補聴器の調整も繰り返していきます。

いつもの生活環境で試して使用を続けることで、「これならずっと使えそう」という実感が持てるようになります。納得できるまで試してみるのが、成功の秘訣です。

両耳につけるメリット

「初めて使うものだし、金額的なこともあるから、とりあえず片耳だけでいいかな?」と考えがちですが、両耳の難聴がある場合、基本的には「両耳装用」が推奨されています。

私たちは本来、左右の両耳を使って音の方向感や距離感をつかんでいますので、両耳で聞くことで、

  •  どこから声をかけられたか分かりやすくなる。
  •  騒がしい場所でも言葉が聞き取りやすくなる。
  •  耳から脳に入ってきた言葉がより理解しやすくなる。
  •  片耳だけに頼るよりも、両耳で聞く方が耳への負担が減って疲れにくい。

といった多くのメリットがあります。もちろん、耳の状態や予算によって片耳から始める場合もありますが、できるだけ両耳での試聴もしてみて、片耳だけの場合との差を体感してみることをおすすめします。

選び方のまとめ

補聴器選びは、ご自身の好みや予算、実際にどのような生活スタイルで使用するのかを考慮しながら、様々な選択肢の中から最適な機種を決めることが重要です。「せっかく購入したのに使わなくなってしまった」とならないように、購入前にしっかりと時間をかけて試聴を行って、補聴器の調整も繰り返しながら、じっくり選んでいきましょう。

  1.  耳鼻咽喉科(補聴器相談医)の診断を受ける
  2.  自分の困っている場面を整理する
  3.  生活スタイルに合う形と性能を選ぶ
  4.  実際に生活の中で試聴してみる

このステップを丁寧に進めていくことが、ご自身に適した補聴器を選ぶコツです。

「補聴器って、本当に聞こえるようになるかな?」「変に目立たないかな?」といった不安は、ひとりで考え込まずに、まずはお気軽にご相談ください。あなたのご希望や聞こえの状態に合わせて、一緒に補聴器というパートナーを見つけていきましょう。

次回のコラム(Vol.3)では、補聴器をご自身の聞こえに合わせるための重要なプロセス「フィッティング(音の調整)」について詳しくお話しします。補聴器を使いこなすためのコツが詰まっていますので、ぜひご覧ください。

    【コラム】補聴器を購入する前にVol.3|補聴器のフィッティングとは?

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